受験や資格試験、就職試験など、人生の大きな節目に「合格祈願」を願って神社を訪れる方は少なくありません。なかでも学問の神様・菅原道真公をお祀りする天神社は、古くから学業成就や合格祈願のご利益で知られ、全国の受験生やその家族から篤い信仰を集めています。
東京都内を中心とする関東地方には、数ある天神社の中でも特に信仰が厚く、「関東三大天神」と称される名社が存在します。今回は、合格祈願で絶対に訪れたい関東三大天神について、その由来や特徴を分かりやすくご紹介します!
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「学問の神様」とは?

現代において「学問の神様」として広く知られているのが、平安時代に活躍した菅原道真です。全国に見られる「○○天神」「○○天満宮」「○○天神社」と名のつく神社は、いずれも道真公を御祭神としてお祀りしています。
道真は学者の家系に生まれ、幼いころから際立った才能を発揮した人物でした。五歳の時に紅梅を見て詠んだとされる和歌をはじめ、和歌や漢詩に優れた作品を数多く残しています。また、当時の最高学府において首席で学業を修めるなど、学問の面でも群を抜いた存在でした。書の才能にも恵まれ、後世には空海(弘法大師)と並び称されるほどであったと伝えられています。 こうした学識と才能を背景に、道真は朝廷で重用され、身分の高くない家柄ながら異例の出世を遂げました。最終的には右大臣にまで上りつめますが、政争に巻き込まれて九州・太宰府へ左遷され、その地で生涯を終えています。
後世の人々は、道真の政治的立場よりも、その卓越した学問的才能と努力に注目しました。幼少期から学びに励み、学問によって道を切り開いたその生き方が高く評価され、やがて「学問の神様」として親しまれるようになったのです。現在では、受験や資格試験、学業成就を願う人々が、道真公にあやかりたいとの思いを込めて参拝を行っています。
「天神信仰」とは?

天神信仰とは、日本において「天神」と呼ばれる神を畏れ敬い、祈りを捧げる信仰のことです。現在では、平安時代の学者・政治家であった菅原道真を「天神様」として祀る信仰を指すのが一般的です。 もともと天神とは特定の神名ではなく、天に関わる神々を指す言葉でした。しかし、道真が藤原氏との政争により大宰府へ左遷され、失意のうちに亡くなった後、都では疫病や日照り、皇族の病死など不幸が相次ぎます。さらに清涼殿に雷が落ち多くの死傷者を出した事件が起こり、これらは「道真の怨霊による祟り」だと恐れられました。
朝廷は道真の罪を赦し、位を贈るとともに、その神霊を鎮めるため「天満大自在天神」という神号で祀りました。京都・北野の地にはもともと火雷神が祀られており、ここに道真の霊を合わせて祀ったのが北野天満宮の始まりです。また、道真が没した太宰府でも信仰が深まり、後の太宰府天満宮として発展しました。大阪でも天神を祀る社が建てられるなど、信仰は次第に全国へ広がっていきます。
当初、天神は雷と結びついた恐ろしい怨霊として畏れられていましたが、平安時代末期から鎌倉時代にかけて、その性格は変化していきます。説話や縁起の中では、天神は慈悲深く、正直を重んじ、冤罪を晴らす神、さらには和歌や芸能を守護する神として描かれるようになりました。江戸時代以降になると、道真が生前に優れた学者・歌人であったことが重視され、「学問の神様」としての信仰が定着しました。寺子屋や藩校で学ぶ人々に崇敬され、現代では受験や学業成就を願う多くの人々が天神様に参拝しています。 このように天神信仰は、怨霊鎮めを起源としながら、時代とともに人々の願いに応える存在へと姿を変え、現在まで受け継がれてきた信仰です。
「関東三大天神」とは?
関東三大天神とは、関東地方に数多く鎮座する天神社・天満宮の中でも、歴史・信仰の厚さ・規模の大きさにおいて特に名高い三社を指す呼び名です。いずれの神社も御祭神は学問の神様として知られる菅原道真公で、合格祈願や学業成就を願う人々が年間を通して参拝に訪れます。 一般的に関東三大天神とされるのは以下の三社です。
- 湯島天満宮(東京都文京区
- 亀戸天神社(東京都江東区)
- 谷保天満宮(東京都国立市)
「関東三大天神」に数えられる神社
【文京区】湯島天満宮

「湯島天満宮(ゆしまてんまんぐう)」は、古代に天之手力雄命を祀って創建され、のちに菅原道真公を合祀した由緒ある神社です。江戸時代には徳川家の崇敬を受け、文教の中心地として学者や文人の信仰を集めました。また、勝負運にもご利益があるといわれており、受験にぴったりの神社として受験シーズンには多くの参拝客で賑わいます。
アクセス:東京メトロ千代田線「湯島駅」徒歩2分
御祭神:天之手力雄命、菅原道真公
ご利益:学業成就、合格祈願、勝負運など
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【江東区】亀戸天神社

「亀戸天神社(かめいどてんじんじゃ)」は、1661年に太宰府天満宮の神官・菅原大鳥居信祐によって創建された、学問の神・菅原道真を祀る神社です。江戸復興の鎮守として徳川家綱の寄進を受け、太宰府に倣った美しい社殿が整えられました。今も学業成就を願う人々を中心に、多くの参拝客が訪れます。
アクセス:JR総武線「亀戸駅」北口 徒歩15分
御祭神:菅原道真公
ご利益:学業成就・合格祈願・厄除け・家内安全など
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【国立市】谷保天満宮

「谷保天満宮(やぼてんまんぐう)」は、東日本で最古の天満宮として知られる学問と交通安全の神社です。菅原道真の第三子・道武が父を偲び、この地に菅原道真公の御神像を刻んで祀ったことが創建とされています。学業成就や交通安全のご利益を得られるとして受験シーズンには多くの参拝客が訪れます!
所在地:東京都国立市谷保5209
アクセス:JR南武線「谷保駅」徒歩3分
御祭神:菅原道真公、菅原道武公
ご利益:学業成就、交通安全など
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まとめ
関東三大天神は、いずれも学問の神様・菅原道真公をお祀りし、長い歴史の中で多くの人々の願いを受け止めてきた由緒ある神社です。湯島天満宮、亀戸天神社、谷保天満宮は、それぞれ異なる魅力を持ちながらも、合格祈願や学業成就において関東屈指の信仰を集めています。ぜひ関東三大天神を訪れ、自身の目標達成を願ってみてはいかがでしょうか。

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