賀茂別雷命(かもわけいかづちのみこと)は、京都の名社・上賀茂神社の御祭神として知られ、雷の力を象徴する神です。賀茂氏の祖神とされ、稲作に必要な雨をもたらす自然神であるとともに、国家守護の神として古代より厚く信仰されてきました。この記事では、賀茂別雷命について詳しく解説します。
賀茂別雷命とは?
賀茂別雷命は、『山城国風土記』逸文などに登場し雷の神として尊崇される神です。特に古代から続く賀茂氏の氏神として信仰され、平安京の北東(鬼門)を護る存在としても位置づけられてきました。神名の「別雷(わけいかづち)」は、「雷を分かつ(統べる)」という意味であり、稲妻や雷鳴のエネルギーを象徴する神格とされています。
日本神話におけるエピソード
母・玉依媛命と天から降った神
『山城国風土記』逸文によると、賀茂別雷命は玉依媛命(たまよりびめのみこと)という女性神の子として生まれました。ある日、玉依媛命が鴨川で水浴びをしていると、川上から丹塗矢(赤く塗られた矢)が流れてきます。不思議に思った彼女がその矢を自宅に持ち帰ったところ、やがて懐妊し、賀茂別雷命が誕生しました。
賀茂祭(葵祭)との関わり
京都三大祭の一つ「葵祭(賀茂祭)」は、上賀茂神社と下鴨神社の両社で行われる祭礼で、賀茂別雷命の神霊を鎮め、五穀豊穣や国家安泰を祈る神事として平安時代から続けられています。この祭では、神の子孫としての賀茂氏の立場が重要視されました。
別名
- 賀茂別雷神(かもわけいかづちのかみ)
- 別雷命(わけいかづちのみこと)
御利益(ご利益)
賀茂別雷命はその神格から以下のようなご利益で信仰されています。雷神としての激しい力と、農耕を助ける慈しみを併せ持つ神であるため、自然を畏れ敬う信仰と深く結びついています。
御利益
◆御利益・雷除け、五穀豊穣、国家鎮護、子孫繁栄、安産祈願、厄除け、開運招福など
賀茂別雷命を祀る神社

京都の上賀茂神社をはじめ全国の賀茂神社などでお祀りされています。
- 上賀茂神社/賀茂別雷神社(京都府京都市)
- 全国各地の賀茂神社
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