天孫降臨とは？〜神々の使命から始まる地上統治〜

天孫降臨は、日本の神話書『古事記』や『日本書紀』に記されている重要なエピソードです。 天照大御神は、地上を「正しい秩序で治める」ために、孫のニニギノミコトにその役割を託します。 これは「天つ神の命（あまつかみのみことのり）」、すなわち「神からの命令」として天皇の起源に深く関わる要素です。 地上は当時、スサノオの子孫であるオオクニヌシが治めていましたが、アマテラスは地上を「自らの血筋」に治めさせるため、神々を派遣して交渉を繰り返しました。この交渉の末、地上の支配権がニニギノミコトへと正式に引き継がれ、天孫降臨が行われることになります。

ニニギノミコトとは？〜天孫降臨の主人公〜

ニニギノミコトは、天照大御神の孫であり、神々の中でも特に重要な存在です。「天孫」とは「天の孫」、つまり天照大御神の血を引く存在という意味であり、その血筋はのちに神武天皇、そして天皇家へと続いていきます。ニニギノミコトは「天壌無窮（てんじょうむきゅう）の神勅」を授かり、「永遠に栄える国を作りなさい」という使命を背負って地上へと降臨しました。

ニニギノミコトとは？

天孫降臨に同行した五伴緒の神々

ニニギノミコトが地上に降りる際、五柱の神々が随行しました。これらの神々は「五伴緒（いつとものお）」と呼ばれ、それぞれが重要な役割を果たします。

• アメノウズメノミコト（芸能の神）
• サルタヒコノカミ（道案内の神）
• アメノコヤネノミコト（祝詞の神）
• フトダマノミコト（祭祀の神）
• イシコリドメノミコト（鏡の神）

特に有名なのはサルタヒコノカミで、地上で最初にニニギノミコトを出迎え、道を開いた「先導者」として知られています。

なぜ地上に降りたのか？

天孫降臨の根本には、「天壌無窮の神勅」という神の命令があります。これは以下のような意味を持ちます。 「我が子孫は、豊葦原瑞穂国（とよあしはらのみずほのくに／日本の美しい国）を治め、永遠に繁栄するだろう」 つまり、アマテラスの血を引くニニギノミコトに、地上を永遠に統治させるという意志です。 これにより、天孫降臨は「神の意志に基づく統治の始まり」として、日本神話における国家成立の原点となっています。

天孫降臨の舞台はどこ？

神話の舞台となったのは高千穂（宮崎県）です。 特に高千穂峰や天岩戸神社は、天孫降臨ゆかりの地として多くの参拝者が訪れます。

ニニギノミコトのその後 〜神話は次世代へ〜

ニニギノミコトは地上に降りた後、コノハナサクヤヒメと結婚し、ヒコホホデミノミコトをもうけます。 その子孫が「初代・神武天皇」となり、やがて大和朝廷を築く流れへとつながっていきます。

まとめ

天孫降臨は、天照大御神の孫・ニニギノミコトが神々の命を受けて地上に降り、日本を治める使命を担った神話です。これは日本の天皇の起源を示す重要な物語であり、信仰や文化の根幹にもつながっています。神話の舞台である高千穂や霧島は、今も多くの人々に親しまれる聖地です。