日本神話における「神産み」は、イザナギとイザナミの二柱が国を生んだ後、さらに多くの神々を生み出していく重要な神話です。自然界のあらゆる要素や現象が神格化されて誕生するこの物語は、日本文化における自然信仰の根幹をなすものでもあります。今回は、神産み神話のあらすじや登場する神々、そして悲劇的な展開について分かりやすく解説します。
国産みから神産みへ
「イザナギとイザナミは、天の神々から「漂っている国を固めて整えよ」と命じられ、天の浮橋から矛を垂らして日本列島を創生(国産み)しました。次に彼らは自然の力や現象を象徴する神々を次々と生み出し始めます。これが「神産み神話」です。
次々と生まれる自然の神々

イザナギとイザナミは、日本列島をつくったあと、自然を司るたくさんの神さまたちを生んでいきます。この「神産み」は、日本の風・海・山・木・火・土など、私たちの身近にある自然が、すべて神さまとして敬われていたことを表しています。たとえば、以下のような神々が誕生しました
- 大綿津見神(おおわたつみのかみ)=海の神
- 大山津見神(おおやまつみのかみ)=山の神
- 志那都比古神(しなつひこのかみ)=風の神
- 久久能智神(くくのちのかみ)=木の神。
- 鹿屋野比売神(かやのひめのかみ)=草や野原を守る神。
火の神の誕生とイザナミの死

転機となったのは、火の神「迦具土神(カグツチ)」を生んだ時です。イザナミは、カグツチの炎で体を焼かれ、命を落としてしまいます。最愛の妻を失ったイザナギは深く悲しみ、怒りからカグツチを斬り捨ててしまいます。このときカグツチの血からも新たな神々が生まれました。
- カグツチの血から産まれた神様
- 金山毘古神(かなやまびこのかみ)=金属の神
- 闇淤加美神(くらおかみのかみ)=雨を司る神
イザナギ、黄泉の国へ
イザナギはイザナミを取り戻すため、死者の国「黄泉(よみ)の国」へ向かいます。しかし、イザナミはすでに穢れてしまっており、その姿を見たイザナギは恐怖から逃げ出します。このエピソードは、次なる神話「禊(みそぎ)による神々の誕生」へと続いていきます。
まとめ
神産み神話は、自然界のすべてが神の姿をとって誕生するという、日本神話の世界観を示す重要な物語です。火の神を生んで命を落とすイザナミの悲劇や、そこから生と死の循環が描かれる展開は、古代日本人の自然との共生意識や死生観を深く物語っています。これを通して、私たちは「自然を神として尊ぶ文化」がどのように根付いたのかを知ることができるでしょう。
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