黄泉の国の神話とは?〜死後の世界をめぐるイザナギとイザナミの悲劇〜

神話エピソード
日本神話において「黄泉の国(よみのくに)」は、死者が向かう世界とされています。この神話では、日本を創造した神・イザナミとイザナギの悲しくも神秘的な物語が語られます。愛する妻を黄泉の国へと追ったイザナギの旅は、生と死の境界、穢れと祓いの意味を私たちに伝えてくれます。
 

イザナミの死と黄泉の国への旅立ち

イザナギとイザナミは、国生みの神として日本列島や多くの神々を生みました。しかし、火の神・カグツチを産んだ際にイザナミは大火傷を負い、命を落としてしまいます。彼女の魂は「黄泉の国」へと向かい、死者の世界に入ります。

イザナギの黄泉下り

伊弉諾神宮

悲しみにくれたイザナギは、死んだイザナミに会いたい一心で、禁断の地・黄泉の国へと向かいます。そこで彼は、イザナミに「一緒に地上に戻ろう」と願い出ます。しかし、イザナミは「黄泉の食物を口にしたので、もう戻れない」と言い、「絶対に私の姿を見てはならない」と忠告します。

見てはいけない姿と決別

黄泉比良坂
黄泉比良坂

イザナギは約束を破り、彼女の姿を覗いてしまいます。そこには腐敗し、蛆がたかる変わり果てたイザナミの姿がありました。怒ったイザナミは追手を放ち、イザナギは必死に逃げ帰ります。最後は黄泉比良坂(よもつひらさか)で大岩を挟み、夫婦の縁を切ることになります。

禊(みそぎ)と神の誕生

黄泉の国から戻ったイザナギは、死の穢れを祓うために川で「禊(みそぎ)」を行います。このとき、左目を洗ってアマテラス(天照大神)、右目からツクヨミ(月読命)、鼻からスサノオ(須佐之男命)が生まれます。こうして新たな神々が誕生し、日本神話の次の展開へとつながっていきます。

まとめ

黄泉の国の神話は、生と死の境界線を超えたイザナギとイザナミの深い愛と悲劇を描いています。また、穢れや死後の世界への恐れ、禊による浄化など、日本人の死生観や宗教的感覚のルーツがここに見て取ることができます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました