神社の手水舎で、「どちらの手から洗うの?」「柄杓がないときはどうするの?」と迷ったことはありませんか。手水は、神さまにお参りする前に手と口を清め、気持ちを整えるための所作です。
この記事では、柄杓を使う手順から流水式の使い方まで紹介します。順番だけでなく、なぜその動きをするのかも見ていきましょう。なお、境内の掲示や神職の案内がある場合は、その神社の方法を優先してください。
ひと目でわかる、手水の基本
- 柄杓がある場合は、左手→右手→口→もう一度左手の順に清める。
- 口をすすぐ水は手のひらで受け、柄杓に直接口をつけない
- 使った水は、水盤の中に戻さず、外側の排水へ流す
- 最後は柄杓の柄を清め、元の位置に伏せて戻す
- 流水式や利用休止中の場合は、現地の案内に合わせて対応する
手水舎とは?読み方と、お参り前に清める意味
手水舎は神社で手や口を清める場所
手水舎(てみずや)とは、神社を参拝する前に、手や口を水で清める場所です。「てみずしゃ」や「ちょうずや」と呼ばれることもあります。
多くの神社では参道の途中に設けられており、水をためる手水鉢や、水を汲むための柄杓(ひしゃく)が置かれています。
神社では、神さまの前に進む前に心と体を清めることが大切にされてきました。そのため、鳥居をくぐってすぐに拝殿へ向かうのではなく、手水舎に立ち寄って手や口を清める習慣があります。
手水には心と体を清める意味がある
手水は、単に手についた汚れを洗い流すためのものではありません。神道では、神さまの前に進む際に、心身を清らかな状態に整えることが大切だと考えられています。そのため、手水には水で手や口を清めるとともに、気持ちを落ち着け、神さまに向き合う準備をする意味があります。
手水の作法には順番がありますが、初めて参拝する人がすべてを完璧に覚える必要はありません。基本的な手順を知り、落ち着いて行うことが大切です。
手水舎の正しい使い方と基本の作法
① 手水舎で軽く一礼し、案内を確かめる

手水舎に着いたら、水盤の前で軽く一礼しましょう。一礼は、お清めを始める前に気持ちを整えるための動作です。ただし、すべての神社で必ず行わなければならない決まりではありません。
手水を始める前に、ハンカチを取り出し、袖が濡れないようにしておくと安心です。
また、神社によっては口すすぎを控えるよう案内している場合があります。そのような表示がある場合は、現地の案内に従いましょう。
② 右手で柄杓を持ち、左手に水をかける

まず、右手で柄杓を持ち、水を汲みます。そして、左手に少量の水をかけて清めましょう。
このとき、使った水が水盤の中へ戻らないようにします。水盤には、次に参拝する人も使う水がためられています。そのため、手を洗った水は水盤の外側へ流すようにしましょう。
③ 柄杓を左手に持ち替え、右手を清める

続いて、柄杓を左手に持ち替えます。今度は右手に水をかけて清めましょう。これで両手を清めたことになります。
手水の基本は、最初に左手、次に右手を清める順番です。左右を間違えないように、「右手で持って左手を洗う、左手で持って右手を洗う」と覚えるとわかりやすいでしょう。
④ 右手に持ち替え、左手に受けた水で口をすすぐ

両手を清めたら、次は口をすすぎます。柄杓を右手に持ち替え、左手のひらに少量の水を注ぎましょう。その水を口に運び、軽くすすぎます。
このとき、柄杓に直接口をつけてはいけません。柄杓は多くの参拝者が使うものなので、必ず手のひらに水を受けてから口をすすぎます。
すすいだ水は飲み込まず、水盤の外側へ静かに出しましょう。なお、口すすぎを禁止している神社や、水を口に含むことが難しい場合は、この動作を省いて構いません。
⑤ 口元に触れた左手を、もう一度清める

口をすすいだ後は、もう一度左手を清めます。右手で持っている柄杓から、左手に少量の水をかけましょう。これは、口をすすぐ際に使った左手を再び清めるためです。
ここまでの順番は、「左手 → 右手 → 口 → 左手」です。
この流れを覚えておけば、初めて手水舎を利用する場合でも迷いにくくなります。
⑥ 残りの水で柄を清め、伏せて戻す

最後に、柄杓の柄を清めます。柄杓の水を汲む部分を上に向けるように、ゆっくりと立てましょう。すると、残っている水が柄を伝って流れ、手で握っていた部分を清めることができます。
その後、柄杓を元の場所へ戻します。柄杓を振り回したり、周囲に水を飛ばしたりしないように注意しましょう。
これで手水の作法は終了です。
ハンカチで拭き、落ち着いて参道へ

手水が終わったら、持参したハンカチなどで手を拭きましょう。次の人が利用できるように場所を空け、参道へ戻ります。
参道では、中央を神さまの通り道と考え、端を歩く作法が伝えられています。ただし、神社によって参道の歩き方や通行方法が異なる場合もあるため、現地の案内に従いましょう。
柄杓がない流水式では、どう清める?
流れる水で手を清め、口すすぎは案内に従う

最近では、柄杓を使わずに手を清める「流水式」の手水舎も見られます。流水式とは、竹筒や蛇口などから流れる水を使って手を清める方式です。
柄杓がない場合は、流れる水で左右の手を清めましょう。
口をすすぐことが認められている場合は、清めた手に水を受けて口をすすぎ、最後にもう一度手を清めます。
ただし、流水式の手水舎では、口すすぎを控えるよう案内している場合もあります。神社によって利用方法が異なるため、現地の案内を確認してください。
手水舎が使えない場合はどうする?
神社によっては、工事や設備の故障、凍結などによって手水舎が使えない場合があります。そのようなときは、無理に水を使おうとする必要はありません。手水舎が利用できない場合は、そのまま拝殿へ向かい、落ち着いてお参りしましょう。
また、体調などの理由で口をすすぐことが難しい場合も、無理をする必要はありません。
手水は神さまへお参りする前に心身を清めるためのものです。作法を完璧に行うことだけにとらわれず、できる範囲で丁寧に行うことが大切です。
手水の歴史と由来
手水の由来は神道の禊にある
手水の由来を知るうえで重要なのが、神道の「禊(みそぎ)」という考え方です。禊とは、川や海などの水で体を清め、穢れを祓う行為を指します。
神道では古くから、神さまに近づく前に心身を清めることが大切にされてきました。その考え方は、日本神話にも登場します。
『古事記』では、伊邪那岐命(イザナギノミコト)が亡くなった妻を追って黄泉の国へ向かった後、地上へ戻って水で体を清める場面が描かれています。このとき、伊邪那岐命が禊を行ったことで、天照大御神や月読命、須佐之男命などの神々が生まれました。この神話は、水で体を清めることが神道において重要な意味を持っていることを示しています。
現在の手水も、こうした禊の考え方につながるものです。ただし、古代から現在とまったく同じ手順で手水が行われていたというわけではありません。神社本庁では、手水を禊祓を簡略化したものとして説明しています。
伊勢神宮には川の水で清める場所がある
手水と禊の関係を感じられる場所の一つが、三重県伊勢市にある伊勢神宮です。伊勢神宮の内宮には、五十鈴川のほとりに「御手洗場(みたらし)」と呼ばれる場所があります。ここでは、川の流れを利用して手を清めることができます。
現在の神社では、水盤や柄杓を使う手水舎が一般的ですが、かつては川などの自然の水で身を清めることも行われてきました。五十鈴川の御手洗場は、そうした水による清めの文化を今に伝える場所の一つです。
神社を訪れる際には、手水舎の形や設けられている場所にも注目してみると、神社ごとの歴史や特徴を感じられるでしょう。
手水舎の作法を覚えて気持ちよく参拝しよう
手水舎は、神社でお参りする前に手や口を清め、心を整えるための場所です。柄杓を使う場合は、次の順番で行います。
- 右手で柄杓を持ち、左手を清める
- 左手に持ち替え、右手を清める
- 右手に持ち替え、左手に受けた水で口をすすぐ
- もう一度左手を清める
- 残った水で柄杓の柄を清め、元の場所へ戻す
「左手 → 右手 → 口 → 左手 → 柄杓」と覚えておけば、基本的な手順を思い出しやすくなります。
手水は、単なる手洗いではなく、神さまに向き合う前に心身を清めるための大切な作法です。神社によって設備や細かな作法が異なる場合もあるため、現地の案内を確認しながら、落ち着いてお参りしましょう。
※本文の手順・由来は、上記の神社・神社本庁の公式情報を確認して構成しています。挿絵は作法を説明するためのオリジナルイラストで、特定の神社の設備を再現したものではありません。


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