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天地開闢の概要
天と地が分かれ、世界が形づくられる
古代の日本では、天地がまだ混沌とした状態にありました。『古事記』では、そこから次第に軽く清らかな部分が上にのぼって「天(あめ)」となり、重く濁った部分が下に沈んで「地(つち)」となったと記されています。この天地が初めて分かれた瞬間が「天地開闢」と呼ばれます。
世界のはじまりに生まれた神々
天地が分かれた直後、最初に現れたのが「造化三神(ぞうかさんしん)」と呼ばれる三柱の神々です。彼らは形を持たず、姿を現すこともありませんが、世界の根本を支える存在とされています。これら三神が「造化三神」と呼ばれ、日本神話における創世の根源的な存在とされています。
高御産巣日神(たかみむすびのかみ):生命を生み出す力を司る神。
神産巣日神(かみむすびのかみ):自然界の生成・繁栄を司る神。
神世七代(かみのよななよ)への流れ
造化三神の登場の後、「宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)」や「天之常立神(あめのとこたちのかみ)」など、天地を安定させる神々が次々と現れます。これらと造化三神を総称して「別天津神(ことあまつかみ)」と呼びます。 やがて、天地が固まり、地上が形をなしはじめると、「神世七代(かみよななよ)」が登場します。この七代の神々は、伊邪那岐神・伊邪那美神へとつながる、国産み・神産みの物語の前段階を担います。
天地開闢が持つ意味
日本神話における「はじまり」の象徴
天地開闢は、単なる創世神話ではなく、「秩序の誕生」を象徴する出来事でもあります。混沌(カオス)の中から天と地が分かれ、そこに神々が生まれるという流れは、「自然界と人の世界の秩序がどのように形づくられたか」を示す象徴的な物語と言えます。
世界各地の創世神話との共通点
天地が最初は一体で、やがて分離して世界が形づくられるという考え方は、日本だけでなく、世界各地の神話にも共通します。たとえば中国の「盤古神話」や、ギリシャ神話の「カオスからの生成」とも類似しており、天地開闢の神話は人類共通の「世界のはじまり」への問いを反映しているといえます。
まとめ
天地開闢は、日本神話の最初の物語であり、天と地、そして神々が誕生する「世界の起源」を語る章です。造化三神をはじめとする神々の登場は、のちの神代七代や伊邪那岐・伊邪那美の国産みへとつながり、日本という国の神話的な成り立ちの根幹を成しています。天地開闢の物語は、神々の誕生とともに「秩序ある世界のはじまり」を象徴する、まさに日本神話の幕開けといえます。


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