久延毘古命(くえびこのみこと)は、日本神話に登場する異色の神であり、「かかし」を神格化した存在です。動くことはできないが、天下のことを知っている知恵の神、または田畑を守る農耕神として信仰されてきました。この記事では、久延毘古命について詳しく解説します。
久延毘古命とは?
久延毘古命は『古事記』に登場する神様で、「山田のそほど」すなわち「かかし(案山子)」のことを意味します。身体は朽ちて動けずとも、知識に優れ、すべてを知っているとされ、田の神、知恵の神として信仰されてきました。名前の語源には「崩え彦(くえびこ)」つまり「崩れた男」という意味があり、風雨にさらされたかかしの姿を象徴しています。また、一説では「杖彦(つえひこ)」が転じたとも言われており、神の依代としての性格がうかがえます。
日本神話における久延毘古命の登場
少名毘古那神の正体を見抜いた神
『古事記』の国づくり神話の中で、大国主神(おおくにぬしのかみ)のもとに海の向こうから小さな神様がやってきます。誰もその神の名を知らなかったとき、ヒキガエルの神・多邇具久(たにぐく)が「久延毘古ならば知っているだろう」と提案します。
そこで久延毘古に尋ねると、その小さな神は「神産巣日神(かみむすひのかみ)の子、少名毘古那神(すくなびこなのかみ)である」と見事に答えます。動くことはできず、ただ田に立っている存在でありながら、久延毘古命は天下のことすべてを知る者として描かれています。
田の神と山の神の信仰と融合
古代日本において、かかしは神の依代として重要な役割を持っていました。とくに山から田へと降りてくるとされた「山の神」が春には「田の神」となり、秋には山に戻るという信仰と結びつき、かかしはその神を迎える象徴とされていました。地方によっては「かかし上げ」「案山子祭り」など、収穫祭の中で久延毘古命に通じる存在をまつる風習が今でも見られます。
別名
- 久延毗古
- 久氐比
- 久延彦
- 久延毘古命
- 山田之曾富騰
御利益(ご利益)
宗像三女神はそれぞれに関連する多様なご利益を持ちますが、総じて以下のような祈願に強いとされています。
御利益
◆御利益・海上、交通安全、水難除け、金運、縁結び、安産など
久延毘古命を祀る神社

久氐比古神社をはじめ多くの神社でお祀りされています。
- 久氐比古神社(石川県鹿島郡)
- 久延彦神社(奈良県桜井市)
- 糺社(島根県松江市)
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