保食神（うけもちのかみ）とは？

保食神は、日本神話に登場する「食物」を司る女神です。名前の「保（うけ）」は「食物」や「命の糧」を意味し、人々に食べ物を与える神として知られています。その神格は非常に高く、五穀・魚介・鳥獣など、あらゆる食物を生み出す力を持っているとされ、日本における食文化の源ともいえる神様です。農耕社会だった古代において、生活を支える「食」を司る神として特に重要視されていました。

日本神話におけるエピソード

『古事記』や『日本書紀』に保食神は登場し、月夜見尊（つくよみのみこと）との神話がよく知られています。天照大神（あまてらすおおみかみ）は、保食神に「食物の接待」を命じました。保食神は口や体から魚や野菜などを取り出して月夜見尊をもてなしましたが、その様子を「不浄」と感じた月夜見は、怒って保食神を斬ってしまいます。すると、保食神の遺体から米・粟・麦・大豆・小豆、牛や馬などが生まれたとされ、これが「五穀の起源」とされる神話です。このエピソードは、命が再生し、食物が神の恵みであることを象徴しています。

別名

• 宇気母智神（うけもちのかみ）
• 保食命（うけもちのみこと）
• 受持命（うけもちのみこと）

御利益（ご利益）

保食神は五穀豊穣、商売繁盛、家内安全、健康祈願などのご利益があります。

保食神（うけもちのかみ）を祀る神社

全国の保食神社などでお祀りされています。

• 岩内神社（北海道岩内郡岩内町）
• 猿賀神社（青森県平川市）
• 白子神社（山形県米沢市）
• 竹駒神社（宮城県岩沼市）
• 箭弓稲荷神社（埼玉県東松山市）
• 建穂神社（静岡県静岡市）
• 犬頭神社（愛知県豊川市）
• 亀山八幡宮（長崎県佐世保市）
• 金立神社（佐賀県佐賀市）
• 扇森稲荷神社（大分県竹田市）
• 全国の保食神社