【日本史】今川義忠とは?遠江進出と塩買坂の戦死、氏親へ続く家督争い

今川義忠を描いた歴史イメージイラスト 室町時代

今川義忠は、室町時代後期に駿河守護を務め、遠江へ勢力を広げようとした今川家の当主です。今川氏親の父であり、伊勢氏出身の北川殿を妻としました。応仁・文明の乱では東軍に属しましたが、遠江での戦いの帰途に命を落としました。

義忠の戦死後、幼い氏親と一族の小鹿範満をめぐって家中は分かれます。氏親や北条早雲の活躍につながる前段として、義忠がなぜ遠江へ進み、その死が今川家に何を残したのかを見ていきます。

ひと目でわかる今川義忠

今川義忠は、駿河を基盤に応仁・文明の乱へ関わり、隣国の遠江へ軍事行動を進めた守護です。1476年に塩買坂で戦死すると、遺児の龍王丸と小鹿範満をめぐる家督争いが起こり、北川殿と伊勢盛時が継承問題に関わりました。

  • 駿河守護家を継ぎ、今川氏の領国を担う
  • 伊勢氏出身の北川殿を妻に迎える
  • 1467年に始まる応仁・文明の乱で東軍に属する
  • 京都の争いと並行し、隣国の遠江へ勢力を伸ばす
  • 遠江で横地氏・勝間田氏などと争う
  • 1476年、遠江からの帰途に塩買坂で戦死する
  • 幼い龍王丸と小鹿範満をめぐる家督争いを残す
  • 北川殿と伊勢盛時が龍王丸の立場を支える
  • 龍王丸が氏親となり、のちに遠江支配を進める

駿河守護としての活動と遠江進出

駿河守護を継ぎ、今川家の勢力拡大を目指す

今川義忠が当主となった今川家は、南北朝時代の今川範国以来、駿河守護を務めてきた一族でした。守護は室町幕府から任命される役職でしたが、国内の武士を自由に従わせられるわけではありません。領国を安定して治めるためには、在地の武士たちとの関係を築き、軍事力をまとめる必要がありました。

義忠も駿河守護として領国の支配を固めながら、隣国の遠江へ勢力を広げようとします。

また、義忠は幕府に仕えた伊勢氏出身の北川殿を妻に迎えました。北川殿は、のちに北条早雲として知られる伊勢盛時の姉妹とされる人物です。この婚姻によって、今川家は幕府と関わりの深い伊勢氏との結びつきを強めました。

この関係は、義忠の戦死後、幼い息子の家督継承を支えるうえでも重要な意味を持つことになります。

応仁の乱に参加し、遠江へ進出する

応仁元年(1467年)、京都で応仁の乱が始まりました。将軍家や有力守護家の後継者争いなどが重なり、全国の武士が東軍と西軍に分かれて争うようになります。義忠は東軍に属しましたが、この争いは駿河に隣接する遠江の情勢にも影響を及ぼしました。

当時の遠江では、守護を務める斯波氏の支配が安定せず、在地の武士たちも独自の勢力を保っていました。義忠はこうした状況を背景に、遠江への進出を進めます。

しかし、遠江には横地氏や勝間田氏など、長年にわたって地域に勢力を築いてきた武士がいました。今川氏が遠江を支配するためには、こうした在地勢力を従わせる必要があり、義忠は軍勢を率いて戦いを重ねました。

遠江は東海道を通じて駿河と京都方面を結ぶ重要な地域でもあります。義忠の遠江進出は、今川家が駿河一国にとどまらず、周辺地域へ影響力を広げようとする動きでした。

塩買坂での戦死と今川義忠の最期

遠江で横地氏・勝間田氏と戦う

文明8年(1476年)、義忠は遠江へ出兵し、横地氏や勝間田氏と戦いました。横地氏と勝間田氏は遠江に勢力を持つ武士であり、今川氏の進出に対抗していました。義忠にとって、遠江で勢力を拡大するためには、こうした在地武士の抵抗を抑える必要がありました。

義忠は軍勢を率いて攻撃を進め、横地氏・勝間田氏の勢力に打撃を与えます。

しかし、戦いに勝利しても、その地域をすぐに安定して支配できるわけではありません。長く遠江に根を張ってきた武士たちの抵抗は根強く、義忠の軍事行動にも危険が伴っていました。

1476年、塩買坂で戦死する

文明8年(1476年)、義忠は遠江から駿河へ戻る途中、塩買坂(現在の静岡県菊川市付近)で敵の襲撃を受けました。横地氏・勝間田氏の残党が義忠の軍勢を不意に襲ったのです。

義忠はこの戦いで命を落としました。流れ矢に当たって戦死したとも伝えられています。横地氏や勝間田氏を破りながら、その帰途で命を落とすという最期でした。

義忠の死後、今川家では幼い息子の龍王丸と、一族の小鹿範満をめぐる家督争いが起こりました。この内紛によって今川氏の遠江攻略は停滞し、義忠が目指した遠江の平定は実現しませんでした。その後、龍王丸は今川氏親として家督を継ぎ、父が果たせなかった遠江の平定を進めていくことになります。

義忠は駿河守護として遠江への進出を積極的に進めましたが、その途中で戦死しました。今川氏が遠江を平定するのは、息子の氏親の時代になってからのことでした。

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